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まさか、今年最初に見るのが高校サッカーになろうとは…… 先日行われた「全国高校サッカー大会」決勝戦、鹿児島県立鹿児島実業高校対滋賀県立野洲高校の試合を見に、国立まで行ってきました。 友達が昔実業のサッカー部員(誰とは言わないがZ○N○)にカツアゲされたと聞いたので、あまり実業は好きでなかったのですが、考えてみたら今の部員には関係ないし、今年は優勝候補に挙げられ「無失点による優勝」「史上9校目の連覇」など見所も多かったため、観戦することに。 いやー、想像以上に楽しかったです。 当然ながらレベルは代表やJリーグと比ぶべくもないのですが、随所に「高校スポーツ」を思わせる部分が見られたので、新鮮な感じでした。 なかでも際だっていたのが、応援です。 ブラバンとチアという、特に高校野球ではお約束過ぎる光景なのですが、これがサッカーだと目立つこと目立つこと。 チアなんて、海外リーグでだって見られないですよ。 「狙いうち」や「タッチ」など、どう考えても野球のために用意された曲が流れるのもご愛敬。 ほぼ満席となった国立の中でも目立っていた、実業の応援団。 肝心の試合内容はというと、これまた見応えがありました。 まずは実業が、強靱なフィジカルを活かして、両サイドのオープンスペースを攻め込むと、そこから中央へ放り込み競り合いに。こぼれたボールを奪うと、ふたたびサイドから〜という怒濤の連続攻撃を見せます。 対する野洲高校は、普段から公言していた「テクニック至上主義」にふさわしく、クライフターンやヒールキックでディフェンダーを翻弄しながら、少人数でも切れ味鋭いカウンターを随所に見せます。 その想像力あふれるプレイには、観客席からどよめきがこぼれるほど。 例えるなら、一歩のデンプシーロールVS宮田のカウンター、といったところでしょうか(ってなぜにボクシング?) 先制点は野洲。FKから最後は強引に押し込みました。 ちなみに、このFKは野洲の選手が、3人いた実業のディフェンダーを抜こうとし、倒されて得たもの。 失点した実業は取り戻そうとするものの、どこか攻撃は淡白で、得点の気配を感じさせません。 日本代表によくある「このまま試合が終わるんだろうな」的空気が国立にも立ちこめ、それは後半に入っても続いていました。 それを破ったのは実業の執念でした。 セットプレーのこぼれ球を、実業の選手がオーバーヘッドシュート! このシュート、無理な姿勢で蹴ったため勢いはほとんどなかったのですが、おそらくキーパーの体勢がくずれているのを見て「枠内に飛べば決まる!」と放ったものだと思います。 ここは野洲ディフェンダーのナイスカバーがあり、一度はクリアされるものの、そのクリアボールをふたたび放り込む。最後は実業フォワード・迫田がヘッドで押し込んで同点! その後は両者互角の戦いを見せ、勝負は延長戦へ。 延長前半は完全に実業のペースでしたが、野洲ディフェンス陣の必至の守りになかなか得点が奪えません。 結果的に、ここで得点できなかったのが勝負の分かれ目となってしまいました。 延長後半、野洲のカウンター。 左サイドの突破を止めたと思った瞬間、大きく左へ、素早いサイドチェンジ。 観客席のどよめきが納まる間もなく、サイドの選手が中央へ。 ディフェンスが対応しようとした瞬間、ヒールキックでオープンスペースにパス。 あわててディフェンスがカバーしようとするも、その前にゴール前へスルーパス。 そして最後は中央へ折り返し。揺さぶられていた実業ディフェンダーは誰一人、ゴール前に走り込んだ瀧川をマークできませんでした。 2-1。 野洲高校の、滋賀県勢初優勝が決まりました。 試合全体としては、野洲が実業を自分たちの土俵に引きずり込んで勝った、というのがふさわしいでしょうか。 実業にテクニックがなかったわけではありません。それはプレイを見てもわかりました。 ただ、実業やほかの高校の「テクニック」が「ボールを敵に渡さない」ためのものであるならば、 野洲の「テクニック」は「ボールを奪われるリスクを負ってでも、ゴールに近づける」ためのものだった、というのが大きな違いでしょうか。 それはすなわち「どんな状態でも、常にゴールに向かう」姿勢にもつながっていたのではないか、と思うのです。 今回の野洲高校の優勝で「高校サッカーに大きな変化が?」と言われていますが、まだたったひとつのタイトルを取っただけ。次以降も好成績を残さなければ「あのときは運が良かっただけ」と言われかねません。 ですが、今回の優勝に影響され、前に向かうテクニックが今以上に意識されたら。 強靱なフィジカルと強力なテクニックがバランス良く指導されるようになったら。 そんな日本サッカーの将来に思いを馳せながら、国立をあとにしたのでした。
by tatibana_m
| 2006-01-10 23:37
| スポーツ
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